長野モトジムカーナ練習会事務局のハタマチです。
第4回の練習会開催が決定したタイミングでこれまでの長野モトジムカーナ練習会を振り返りるとともに、モトジムカーナ練習会を開催することとは何か?どうやって開催に漕ぎつけたのかまとめたいと思います。
少々長いですが、興味のある方は是非ご覧いただき長野モトジムカーナ練習会にご参加ください。
また、ご自身の住む地域で練習会を行ってみたい方。特にモトジムカーナはもとよりオートバイ自体に理解が浅く、モータースポーツが文化として根付いていない地域でこういった練習会を開催したい方には参考になる内容かと思います。
1.仲間を見つける
仲間を見つける事がなにより大事です。一人では何もできないと思ってください。
長野モトジムカーナ練習会の場合、主催者は以下3名になります。
代表:ささやん
代表であり、練習会の言い出しっぺであるささやん。
20代で若くモトジムカーナに情熱をもって取り組んでいて、県外のモトジムカーナ関係者ともつながりがあり発信力が高い。
県外の練習会や大会にも積極的に参加し、モトジムカーナのためにハイエースや各種機材を購入するなど散財が続いているが、ライダーとして練習会の代表として今後の成長が楽しみな長野モトジムカーナのアイコン的な存在です。
技術・コース担当:okubo
最年長であり自動車競技など経験豊富で冷静沈着、ここぞという時の判断力が非常に頼りになります。
行動力が凄まじく関東や東北のイベントでも軽バンにVTRを載せて遠征するアクティブさと、その経験からタイムアタックやスラロームなどのコース設定と光電管の計測器の製作も担当している技術力でも頼りになる兄貴的存在です。
広報・事務局:ハタマチ
モトジムカーナに興味津々だったところを、ささやん代表に見つかり沼に沈められそうになっている中年。Webサイトや各種印刷物の制作、会場との渉外、練習会当日は静止画・動画のカメラマンもしています。
モトジムカーナは競技志向ではなく安全運転のため。技術向上と公道で無茶をしないようにクローズド環境で発散する事が目的。
基盤の無い中で一人で全てを担うのはとても大変なので仲間を見つけることが重要です。
現在、上記の3人で実にバランスよく適材適所でそれぞれができることに取り組みながら練習会を運営しています。
2.練習会初開催まで
2020年の夏、SNSでささやんが発した「長野でモトジムカーナ練習会やりませんか?」に即座に飛びついた事でなんとなく会が発足しました。
会場の確保と必要機材の準備については他の二人にお任せして、未経験者に近い私は主に事務的な事と広報活動について考えました。
広報活動をする中で感謝してもしきれない嬉しい出来事もあったのでここでお知らせします。
事務的な事柄
共同主催で揉めがちなお金については、最初からしっかり管理するよう訴えGoogleスプレッドシートにて共有リストに各自が必要な物品と購入金額を入力しました。
練習会を成立させるためにはパイロンや計測器、備品など用意するものが多く各自が立て替えで支払いしましたが、購入した物品については数回の参加費収入で清算済みです。
金銭面でも複数人で運営する事のメリットがあると思います。
広報活動
物品購入と並行して行ったのが広報活動です。
ただでさえモトジムカーナ愛好者が少ない長野県でコロナ感染対策として県民のみを対象とした練習会というのは集客で苦戦することが目に見えていたので対外的なツールとしてWebサイトとチラシを制作しました。
チラシを制作するにあたり、以前参加させていただいた山梨のサンメドウズ練習会で撮った写真の使用許諾を得るため主催者であるPITAさん(@pitahaha)に連絡するとご快諾とともに大量の黄色パイロンとミニパイロンの貸し出しをご提案いただきお借りする事になりました。
本当にありがたく感謝してもしきれない思いでした。
こうして完成したWebサイトとチラシは各自がSNSでの拡散と、関係するバイク屋等に配布していきました。
3.順調に思えた練習会が…
2020年は初めての練習会という得体のしれないものにご参加いただいた皆さんのおかげで、無事9月と10月の二回、練習会を開催し成功させることができました。
しかし、第2回練習会以降、第3回の練習会について何もご案内できない状態が長く続きました。
実は、それまで使用してきた会場が周辺住民の苦情を理由に借りられなくなってしまったのです。詳細は割愛いたしますが、最終的には「騒音」が理由との事でした。
我々としても最大限配慮してきたつもりでしたが、そういった結果になったことは残念で仕方ない思いとともに、事前の根回しと騒音対策に関する取り組みが不足していたと痛感しました。
4.第3回練習会に向けた変化と戦略
これまでの会場が使えなくなったことで次回以降の計画が白紙になってしまいました。
いくつか候補をあたってみるも良い返答は得られず、何も決まらないまま年を跨いた2021年2月、関係者が集まって打ち合わせを行いました。
2020年の振り返りと2021年の計画を立てる中で、これまで何となく分担していた事務局の仕事を自営業で動きやすい私(ハタマチ)に集約することになりました。
これまでの会場は、二輪のイベント実績がある施設だったため申請すれば割と簡単に借りられる状態だったのが、新たな会場の開拓は難しく電話やメールでは門前払いに近い状態が続いていたので交渉ツールを制作することにしました。
これまでの実績や考え方、必要な条件と施設利用で得られるメリットなど簡潔にまとめたA4のチラシを制作し、これを持って直接話を聞いてもらう事にしました。
以下、チラシで伝えたい事を明確にしました。
・自分たちがどんな団体で何を行っているか
・なぜ練習会場を探しているのか
・何を望んでいるのか
・施設を貸し出すメリット
特に公共の場所ではなく事業者が管理している施設では、貸し出しによって得られるメリットを示すことで、少なくとも交渉の場には立てるのではないかと考えました。
5.いきなり決まった第3回練習会
私が最初に交渉先としたのが長野県東筑摩郡朝日村にある「あさひプライムスキー場」でした。朝日村には仕事で関わりがありロケーションの良さと、前年に指定管理者が変わった事を知っていたので可能性はあると考えていました。
新しい指定管理者は(株)タジマモーターコーポレーション様。
現在はアクションカメラGoproの日本総代理店として有名ですが、代表は「モンスター」と異名をとり、日本はもとよりアジアを代表するドライバーとして、アメリカ、ヨーロッパでもその名を広く知られる田嶋 伸博 様
可能性をヒシヒシ感じつつアポを取り、チラシを手に打ち合わせ場所に赴きお話をさせていただくと「いいね、是非やりましょう」といきなりご快諾をいただきました。
長野県エリア担当の会社の社長様が元アスリートで新たな活動をどんどん押し進める非常にアクティブな方で、こちらの話に一切否定的な反応をされずスムーズに話がまとまりました。
これによって第3回長野モトジムカーナ練習会の開催が決まりましたが、初開催の場所かつ前回の失敗もあり事を慎重に進めるため、とりあえずテストイベントとして一度開催し問題点など露見した場合は修正しつつ定期開催を目指すという方向でまとまりました。
6.理解と信頼を得て持続可能な練習会とするために
施設管理者と施設の所有者である自治体の理解と信頼を得て、今後も継続的に練習会を行うために事務局としてやった方が良いと思ったことは全て行いました。
以下はその取り組みです。
企画書の提出
指定管理者の了承を得られましたが、施設自体は村の持ち物です。
最終的な決裁権は村が持ち、住民の問い合わせ等にも対応する必要があるとの事で改めて企画書を作成し提出しました。
多くは先のチラシの内容を再編集したものですが、自治体としても心配な騒音と新型コロナウィルス感染防止対策については新たに追記して企画書を完成させました。
騒音対策
前回の轍を踏むわけにはいきませんので騒音対策は万全に行う必要があります。近接排気騒音について測定方法を学ぶとともに測定機器を準備しました。
併せて、可能な限り正確な計測を行うために参加者の車両ごとの最高出力回転数と音量測定回転数を一覧表にし、当日どのバイクを測定することになっても正確かつフェアな結果が出せるように準備しました。
実際に計測を行いましたが騒音規制をオーバーする結果は計測されず晴れて全員参加となりました。
新型コロナウィルス感染防止対策
新型コロナウィルス感染防止対策についても従来から体温測定と誓約書の記入をしていましたが、さらに「新型コロナウィルス感染症対策チェックシート」を作成し、体温測定の結果とともに参加者全員に記入していただきました。
後日、参加者の中に感染者が出た場合、保健所に提出するため、誓約書とともに一定期間保管することにしました。
体温測定とチェックシートの結果から、こちらも無事全員参加が認められました。
また、その後の感染報告もありません。
運営マニュアル作成
これまでの練習会では対応が後手後手になっていたり、大事な事を伝え忘れてしまった場面も多かったことから、主催者3人で当日の運営マニュアルを共有し最終の打ち合わせを行いました。
誰が何の担当なのか概ねの時間でやることを決めておくことで設営からミーティングまでの流れがスムーズになり、かつ漏れの無い情報伝達と運営が行えました。
併せて傷病者対応も緊急時に慌てないよう記載し、実際に打撲の症状がある参加者の方に速やかに案内することができました。
7.練習会当日参加者に配布した受付キット
練習会当日、参加者に配布した受付キットです。
朝のミーティングではざっくりのスケジュールと特に重要な注意点を読み上げ、あとは個々に書類で確認していただきました。
参加者の生の声を聞くとともに新たな課題を見つけるため初めてアンケートを取りました。
また、タイムアタックの記録用に小さなゼッケンも配布しました。
8.なんと村長が
練習会当日の朝、自治体のトップである朝日村村長の小林様が様子を見にいらっしゃると伺いました。
嬉しさと身の引き締まる思いでいっぱいになりましたが、ここは是非、朝のミーティングで村を代表してあいさつをしていただきたいと申し出たところご快諾いただけました。
以下、小林様の挨拶になります。
朝日村にお越しいただきありがとうございます。
初めて朝日村にお越しになる方たちばかりなので、是非リピーターになっていただき、次回は横の宿泊施設も利用していただいて泊りがけで練習会に参加してみてください。
わたしも40年前はナナハンに乗っていて8の字くらいは練習してました。
10台くらいでツーリングに行くと、必ず一人くらいは目的地で立ちゴケしたり、途中でコースアウトするなんてことがありました。
このような健全なバイク乗りの方に集まっていただいて、この場所で皆さんの技術を磨いていただくことで、安心安全な運転の一助になればと思いますので、ぜひこの練習会が成功するように願っています。
まずは転んでもケガしないように防護だけはしっかりしていただいて、今日は一日ゆっくり楽しんでいってください。そして、また朝日村にいらしてください。
お願いします。
9.定期開催に向けて
練習会当日は運営上の大きな問題も発生せず、傷病者も打撲がお一人いただけでした。
その日のうちにタイムアタックの記録を公開、翌日には公式写真・動画を公開、さらに翌日には報告書を提出して事務局としての仕事は完了しました。
事務局として裏方の仕事をガッチリ担当し非常に疲れましたが、大成功に終わった練習会を振り返ると心配しすぎだったかと感じる部分もありました。
ただ、それも全て事前の準備と根回しがほぼ完璧に行えたからと自信を持っています。
練習会終了後も村や地域住民からの苦情や、施設からの問題点の指摘もありませんので、このまま定期開催に向けて進んでいきたいと考えています。
最後に個人的な意見として、モトジムカーナに触れることで、閉鎖環境で安全にバイクの操作と危険さを学び、公道で無謀な運転をするライダーが一人でも減ってくれたら、この練習会の社会的な意義も高まると思っています。
多くの皆さんのご参加お待ちしています。
長野モトジムカーナ練習会
事務局ハタマチ